矢坪の森トップへ
はじめに 矢坪の森について
日本の森・矢坪の森・ナショナルトラスト・記念樹を植える
参加していただく為に・スケジュール
ニュース
全体案内図
高速道路
JR時刻表
周辺施設
林道ガイド
現地敷地図
スタッフ紹介
事務局
四方山ばなし

 

 

 世界遺産に登録された白神山地の原生林は、人の手が介入する余地はありません。森をそっと見守る事が、私達に出来る森を守る最良の方法です。原生林を保つ難しさは、例えばそこに人が通る程の登山道を通しただけでも、自然は損なわれるという事にあります。登山道は雨の日の雨水の通り道となります。本来地面に吸い込まれる雨水が、その道をかけ下り、共に土砂を運び、次第に木の根を覆う土を洗い流してしまうのです。
 太古から続く天然林は、日本を覆う森の53%しか残されていません。その他の森は、過去に伐採、植林が行なわれてきている森なのです。森が少なくなってきていると言われている今、それでも日本の国土を占める森の広さは67%。世界的平均値25%に比べると遥かに緑豊かな国である事が分かります。(森林率が50%を超える国は、数カ国に限られています)
 ただ、最近、その森の質が問われ始めています。戦後、日本は復興の中、大量の住宅用木材及び燃料材の必要性に迫られていました。大量の優良な木材が各地の森林から切り出されました。その当時、ハゲ山という言葉で森林の伐採跡地が表現されています。そして林野庁の指導の下、拡大造林計画が実施され大量の植林が行なわれました。人工林化することで、木材価値の高い杉、檜の早い成長が見込めました。見方を変えれば、森の農場といったところでしょう。この手法は好評をもって受け入れられました。切りっぱなしの諸外国に比べると、自然を畏敬する日本人の心情に植林はとても心の安らぐ行為でもありました。林業がその後衰退の一途を辿るとは、その当時誰も考えなかったのです。
 昭和35年に、木材の輸入規制が緩和され、太く、加工のし易い外材が大量に日本の市場を席巻しはじめました。燃料材もガス、電気、石油へと移行しつつありました。その結果、林業は次第に勢いをなくし、植林された新しい森の管理もままならなくなり始めました。植林をされ樹齢が揃った森を、一斉林と呼びます。この林を育てる為には、勢いのある木を残しつつ、間伐、枝打ちをくり返し行なう必要があります。こまめに手を入れる事で健全な森としての形を成していくのです。
 自然の森の場合は、幼木から成木、そして老木など、様々な樹齢の木が広い森の中に点在しています。その中で寿命を迎えた老木が倒れ、次第に腐り、そこに陽が射し込む空間が生まれ、新しい芽が吹き出るという本当に穏やかな循環で森は生きています。その点、一斉林の場合、植林されっぱなしの状態が続いてしまうと、成長しきれない木々が立て込みあってしまい、その結果ぜい弱で根を張る事も出来ない木は、力を失っていきます。陽が射し込まない下草も生えてこない表土は、容易に雨水に流されてしまいます。
 もうひとつの問題は、単一の針葉樹が植えられてしまったという事です。針葉樹は広葉樹に比べ、保水力に乏しく、土壌が酸性に傾く傾向にあると言われています。一方、広葉樹は土壌を中性へ導き、落葉は微生物の分解作用を促し、その腐葉土は豊かな森を作り出します。現在、日本の森の植生において、様々な種類の樹で成り立つ混交林が理想的だと言われ、様々な工夫がなされ始めています。

 

 矢坪の森も一斉林時代の負の遺産となっていました。
 この森は昔から椎茸栽培用の小楢の切り出しが行なわれていました。一斉に切り出し、出荷をした後、数十年が経過すると、ちょうど栽培に適した太さの木が成長しているといった具合です。里山として、その循環が保たれていました。しかし、中国から格安の椎茸の輸入が増加するにつれ、国内の栽培業者は圧迫され、その原木としての小楢の需要もなくなりました。小楢の木で栽培された椎茸は、薫りが強すぎるという最近の市場の傾向も強く影響しています。一斉林の小楢の森は、その後切り出しされる事も、間伐をされる事もなく、過密を極め、その中を通る事さえままならない状態になっています。
−棚山全景 1171m−
棚山のふところに抱かれた
東南斜面に広がる
約88000m2の矢坪の森
 問題は他にもありました。不法投棄です。鬱蒼と暗く荒れた山は、不法投棄も呼び寄せるようです。交通のアクセスもいいこの森には、産業廃棄物、農業のビニールなどが大量に投げ捨てられていました。
 今回、森を健全な状態へ戻したいという土地所有者の賛同、応援もあって、矢坪の森の木の整理伐採を始めています。森の中で、大きく成長している広葉樹、赤松、そして山桜を残し、過密状態にある小楢の木を伐採しました。
 山桜の木を残した時、がく然とした事実がありました。山桜の木は、自ずからの力では、自立出来なかったのでした。周囲を立て込んだ木々で支えられていた為でしょう。もやしのように細い幹は、釣り竿のようにしなり、その頭を地面に垂らさんばかりの状態でした。桜の専門家とも相談し、半年間様子をみたのですが、強風の折、途中から幹に亀裂が入ったりと、持ち直す様子はうかがえません。一度手を抜いてしまった森の惨状を目の当たりにしてしまいました。
 伐採を行なった地面からは、春、わらびが芽を出します。小楢の切り株からは、10本程の芽があっという間に、立ち上がりました。立ち上がったこの芽を間伐、整理をし育てていく事で、立派な天然再生林となっていきます。
 この森を健全にしていくのには、時間が掛かりそうです。私達は、その森の空いたところに山桜の記念樹を植え、木の、森の成長を楽しもうと思っています。
 この運動を始めてから、幸いな事に、地元の林業関係者の協力も得る事が出来ました。そして、深く知る程に、森を守る事の難しさを痛感しています。

 

 イギリスの国土の1%は、百年の歴史をもつナショナルトラストが保有しているという話に驚いた事があります。この日本でも後世に引き継げる自然を残したいと、考える時、様々な形で寄与出来るはずです。私達には、森を守るのを、国、地方自治体に任せておけないという気持ちがあります。
 こんな話がありました。
 平成4年、北海道、静内町に大正時代から活動を続けている桜保存会が、町から訴えられた事がありました。その会は町有地に桜を植え続け、春先には見事な花を咲かせる桜並木の名所を地道に作り上げてきました。ただ、その土地が町有地だった為に、その桜300本は行政の観光事業の駐車場造成の為植え変えられ、そのうち200本は枯れる事態を招いてしまったのです。
その状況を憂いた桜保存会が、桜に近接する防風林の一部伐採、および新たな桜の植樹を行なった事で、町から町有地内の無断伐採、無断植栽という事で訴えられました。結果は、保存会の敗訴でした。多額の賠償金を町に払わなくてはならない状況に追い込められ、なお係争は続いています。
 木を植えて、森を守りたいという気持ちを、もっと確実に、そして後世に受け継ぐ為、私達は土地の権利を参加者で共有しあうという方法を考えました。土地の占有する権利を手放すという土地所有者の賛同も必要です。私達に土地が贈与され、ひとりひとりが土地の共同所有者として、広い森全体の権利を主張出来ます。土地の権利を分かち合う事で森は永久に守られます。この度、矢坪の森の土地所有者から88000m2の土地の提供をしていただいています。
 日本各地には、森だけでなく行き場のなくなった、荒廃した土地があります。バブルの遺産です。開発にとん挫したゴルフ場、閉鎖したスキー場、荒廃した全ての土地に木を森を取り戻したい気持ちで一杯です。
 荒廃した森の、土地の新しい再生プランがここにあります。この市民運動に賛同、参加していただける方を募っています。森を即席で作る事は出来ません。記念樹の成長を長い目で見守りつつ、将来花を咲かせる桜の森を一緒に楽しんでいただければと思います。

 


−山桜−
季節を彩り、その落葉は
豊かな腐葉土になる。
 私達は植樹を行なう時期、植え方、樹齢等、様々な検証を行なってきました。植樹の時期を誤り、せっかくの苗木が根付かず、悲しい思いをした事もありました。手ずから植えた記念樹は、自分の分身のような、子供のような気がします。雨の日、夏の暑い日、そして雪降る日に、遠い町から山梨の矢坪の様子を思いを馳せては、その成長を案じています。
 記念樹の一本一本には、様々な思いが込められています。子供、孫の誕生そして健やかな成長を祈って。亡き伴侶を偲んで。自分が生きた証として。思いが込められている分慈しむ心も大きいようです。
 矢坪の森は、棚山の懐に抱かれた緩やかな東南斜面に広がる森です。しかし、標高が700mを超えるという自然条件が厳しい所でもあります。桜の植樹の季節は、木の活動が緩やかな秋から春にかけてが一般的なのですが、矢坪の森の場合は、春近い2月の末から3月の頭が最良と考えています。苗木を移植する際に、大事な根を切らずにそのまま持ってこれる程度の、樹の高さが2m程の苗がいいようです。
 植樹は、参加者自ら穴を掘って植えています。ちょっと苦労をして、汗をかきつつ愛情も一緒に注いで植樹を完了させます。植樹の際のアドバイス、植樹後の水やり、添え木は、立会いの造園スタッフに手伝って貰っています。
 いくつもの季節を経て、小さな苗木は成長し、やがて森を形づくります。桜の花の咲く季節には、矢坪の森を訪れていただき、楽しんで下さい。自然を楽しみつつ通っていただく事で、矢坪が所縁の場所になります。森は人の生を超え、静かな時を刻み続けます。悠久の時の中に矢坪の森は、生き続けます。参加者の思いを永らえる静ひつな森なのです。
 森作りを楽しむ輪が広がり、矢坪の森が桜で彩られる日を私達は楽しみにしています。記念樹の一本一本が集まって、やがて、大きな森になるのです。

 

はじめに 矢坪の森についてへ
アクセス
参加していただく為に・スケジュールへ
お問い合わせ お問い合わせ 矢坪の森掲示板
Copyright (C) 2001 YatsuboNoMori Alive All Rights Reserved. 矢坪の森トップへ